歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
きっとそれっぽいものでも先輩は満足できるものにしてくれるだろう。
けれどそのルートはそこまでだ。
しかし基礎から学べばさらに先、もっと自由に絵が描けるようになる気がする。

「わかりました」

私の答えを確認するようにゆっくりと先輩は頷き、携帯を返してくれた。

「正直に言えば現在のレベルなら、小手先の修正で一ヶ月もすれば見られるものになります」

「え?」

なんだか急に、先ほどの自分の選択が間違っていたように思えてきた。

「けれどその先はないです」

烏龍茶を口に運びかけて止め、彼はタブレット端末でなにか注文している。

「もしかして私を試しましたか」

「いいえ。
僕は白石さんの気持ちが聞きたかっただけです」

真顔の彼からは感情が読み取れない。
しかし、彼の期待に応えられたような気がして嬉しかった。

少しして運ばれてきたのは――生ビール、だった。

「結局、飲むんですか」

「明日は休みなので、一杯くらいならかまいません」

ジョッキを手に取り、彼がごくごくとビールを一気に飲み干す。
明日は休みだからいいとは、やはり今朝の二日酔いがよほど堪えたらしい。

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