歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
アヌビスペイントは基本無料で使えるお絵かきソフトだ。
とりあえず上手くなるまではと私はこのソフトを使っている。

「アヌビスか……懐かしい……使い方、覚えてるかな……」

枝豆を食べながら、灯守先生の目が遠くなる。
もしかしてこれは、先生を困らせている?
「灯守先生はなにを使ってるんですか?」

「俺?
俺はネコスタ」

ネコスタ――Neko StudioPaintは私が憧れているイラストソフトだ。
もっと上手くなったらいつかは、とは思っていたが。

「ポチりました!」

「え、はやっ!
というか勢いで買うのはいいですが、少しよく考えましょうか、白石さん?」

私があまりに考えなしに見えるからか、灯守先生が朝倉先輩に戻る。

「確かに勢いでしたが、でもいつかはと思っていたので、それが今日になっただけですよ」

注意されたのが不満で、唇を尖らせてレモン酎ハイのグラスを口に運ぶ。
途端になぜか、灯守先生は大きなため息をついて頭を抱えた。

「この子は……」

ちらっと彼が、眼鏡の奥から私をうかがう。
勢いでネコスタを買う以外になにかやっただろうかと考えるが、思い当たる節はない。

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