歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
先輩は骨格や筋肉の付き方、そこからどう動くのかまで考えて描いていた。

「あの、灯守先生」

『はい』

「先生のようになるには解剖学からやらないとダメですか」

もう答えはわかっていたが、それでも聞いていた。

『あー……』

なぜか戸惑い気味に先輩が長く発する。

『すみません、語りすぎました』

しかも謝られて困惑した。

『別にここまでやる必要はない……わけではないですが、やらなくても絵は描けます。
神絵師と呼ばれるすべての人が、解剖学までやって描いているわけではありません』

「そうなんですか?」

てっきりみんな、滅茶苦茶勉強しているのだとばかり思っていた。

『はい。
人体の動きやそれに伴う自然なシワなどは研究しますが、解剖学までやる人間はそこまで多くありません。
学んで損はありませんが』

「へー」

ここまで勉強しなければならないのかと途方に暮れかけたので、よかった……が。

「でも、灯守先生は勉強したんですよね?」

『まあ、僕は拘るととことん拘る人間なので。
図説の模写をスケッチブック五十冊くらいやったら、知り合いに引かれました』

「五十冊……え、五十冊!?」
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