歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
『まあ、欠点をあげればいくらでもあげられますが』

「うっ」

容赦ない言葉に胸を押さえ、背もたれに寄りかかる。

『でも、それを補って余りあるほど素敵な作品でした。
なんだろう、透明でとても静謐な独特な世界観というか。
静かな中に美しい歌声が微かに響いているような、そんな作品でした。
あと、文章がとても読みやすい』

「えっ、あ、……そんな褒めても、なにも出ないですよ」

熱を持つ顔でそろそろと姿勢をタブレットの前へと戻した。

『褒めるもなにも、僕の正直な感想です。
本編にも手をつけようかと思っています』

「ギャーッ!」

つい自分の口から汚い悲鳴が上がり、慌てて押さえる。

『ギャーッ?』

「え、いえ、なんでもないです」

先輩が怪訝そうなので、平静を装う。

「あの、ほんと、無理して読まないでくださいね?
特に初期の頃は今よりもっと酷いので」

あれを身内に読まれるのだって恥ずかしいのに、それが推し絵師の灯守先生となればなおさらだ。

『楽しみにしています』

意味深に先輩が告げ、私の口から大きなため息が落ちた。

今日もレッスンを終え、ヘッドセットを外す。

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