歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
「これっていつまでだっけ……?」

「白石さん!」

「はひっ!」

強めの声で呼ばれ、背中が跳ねる。
おそるおそる振り返ると朝倉先輩が立っていた。

「ちょっといいですか」

「……はい」

先輩に部署から連れ出されながら、なにをやったのか考えるが思いつかない。
いや、やったのすら気づかないくらい、この一日二日の私はテンパっていた。

休憩コーナーの自販機でスポーツ飲料を買い、先輩は私に渡した。

「一旦、それを飲んで落ち着きましょうか」

「……はい」

自分がパニックになっていた自覚はある。
言われるとおりにペットボトルを開けて飲むと、身体にライチ味の飲料が染みていった。
先輩が私と向かいあうように壁に寄りかかり、缶コーヒーのプルタブを起こす。

「頭、冷えましたか」

「……なんか、すみません」

無意識に自分の口から謝罪の言葉が漏れた。
きっと、私が自分の仕事も捌ききれないから怒っている。

「謝ってもらう必要はありません。
僕のほうこそすみませんでした」

「え……?」

どういうことかわからず、顔が上がる。
目のあった先輩は眼鏡の下で難しそうに眉を寄せていた。

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