歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
朝倉先輩は怪訝そうだが、笑って誤魔化す。
興奮しすぎてお茶をぶちまけそうになっていたなんて知られたくない。

『なんでもないならいいですが。
白石さんはすぐに抱え込みがちなので困ったことがあればきちんと言ってください』

「はい!
ありがとうございます」

つい先日の失態が思い出され、頬が熱くなる。
ひとりで仕事を抱え込んで誰にも相談せずにパニクっていたのはあとで改めて反省した。
……でも。

明日の待ち合わせ時間などを決め、今日のレッスンを終える。

「朝倉先輩は気づいてくれたんだよなー」

背もたれに身体を預け、大きく息をつく。
誰も、課長ですら私がいっぱいいっぱいで慌てふためいているなんて気づいていなかった。
けれど朝倉先輩は気づいて声をかけてくれ、私を落ち着かせてフォローしてくれた。

「いい人、なんだよ」

このあいだの先輩を思い出し、小さく笑いが漏れる。
仕事はもちろん、弱みを握られているからとはいえ、私がバラす心配などないとわかっているのにこうやって絵の描き方を教えてくれている。
なんだかんだ言いながら、いい人だ。

「明日、なにかお礼がしたいな」

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