歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
そのタイミングで後ろから声をかけられ、飛び上がりそうになった。

「え、あ、その」

銀縁スクエアの眼鏡の奥から冷たい目で見られ、心臓がばくばくと激しく鼓動する。

「や、いや、……そう、その!
付箋!
付箋、一緒だなーって」

内心、だらだらと嫌な汗を掻きながら、画面の端に貼ってある付箋を指す。

「付箋なんてみんな、貼っていますが」

呆れるように言われ、びくっと肩が跳ねた。

「あ、いや、そぅ、ですよね……。
ははははー」

笑いながら少しずつ後退し、ある程度距離ができたところでダッシュして逃げた。

「あー、ヤバかった」

給湯室に逃げ込み、ようやく息をつく。
私、白石なつみは彼、朝倉先輩が少し苦手だったりする。
いつも真顔で笑わない。
冷たい視線は銀縁眼鏡と相まって、歩く冷凍庫とまで社内では言われていた。

仕事をしながらちらちらと朝倉先輩をうかがう。

「朝倉ー!」

そろそろコーヒーでも淹れてこようかななんて思っていたら、営業課長が怒鳴り込んできた。

「稟議通んなかったの、お前のせいだろ!」

バンバン営業課長は机を叩いているが、朝倉先輩は眉ひとつ動かさない。

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