歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
「はい。
景品の額が景品法の規定を超えていましたので」

十ほど年上の営業課長へ、朝倉先輩は淡々と答えた。

「越えてねぇ!
俺はちゃんと計算して申請した!」

「定価では越えていませんでした」

「だったら問題ねぇだろ」

ぐっと営業課長が、朝倉先輩のほうへと身を乗り出す。

「けれど売り出し価格からは越えていました」

「だからなんだって言うんだ、大口の取引先だぞ!
会社の利益のためだ、通せ!」

「できません」

「なんだとぅー?」

とうとう営業課長は朝倉先輩に掴みかからんばかりになっていて、はらはらする。
けれど当の本人はいつもどおりの真顔だった。

「通せば利益と引き換えに、行政処分を受けることになります。
それでもよろしいですか」

「くっ……!」

営業課長が喉を詰まらせて、ついに黙る。

「……わかった。
会社の信用を落とすわけにはいかねぇからな」

怒鳴り込んできたときとは違い、営業課長は諦めたかのようにがっくりと肩を落として出て行った。

「白石さん。
この件ですが」

「えっ、あっ、はい!」

唐突に朝倉先輩に声をかけられて我に返る。

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