歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
足を踏み出しかけていた先輩が振り返る。

「安い買い物ではないですからね。
いったん、持ち帰って検討します。
それに今の私には4Kはまだ早いですし。
……憧れではありますが」

先輩が覆うようにして眼鏡を上げるので、その表情はわからない。

「朝倉先輩……というより灯守先生でも憧れとかあるんですか」

行こうと促され、歩きだす。

「ありますよ。
僕よりうまい人なんていくらでもいますからね」

「……灯守先生がそんなことを言うと私が落ち込みます」

私から見れば灯守先生は神絵師なのだ。
なのに自分なんてまだまだなんて言われたら、私はあとどれくらい頑張らなきゃいけないのか途方に暮れる。

「すみません。
でもこれは謙遜というわけではなく、事実ですので」

「わかってます。
ああもうっ、私だって頑張っていつか、神絵師と神作家の二足のわらじ履いてやるんだから!」

淡々と事実を告げられ、わざと明るく振る舞って落ちていきそうな気持ちを上げた。
先輩に悪気がないのはわかっている。
彼はよくも悪くも嘘をつけないだけ。
事実を指摘され、落ち込むのは私の勝手で先輩のせいではない。

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