歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
「私は、私に無駄なお金を使うよりその分、灯守先生がイラストを描くのに使ってほしいです」

「あーっ!」

再び先生は足を止め、後ろ頭をがしがし掻きだしたが、私はなにか変なことを言っただろうか。

「お前、そういうこと無自覚で言うんだもんな」

私を見下ろした先生はなぜか、困ったような嬉しいような顔で笑っている。

「ほんと、俺以外の男に家に行きたいとか気軽に言うなよ?」

「だから。
気をつけるって言ったじゃないですか」

行こうと促され、今度こそ展示水槽のほうへと向かう。

「うん、まあならいいんだけどさ」

なぜか先生は楽しそうで困惑した。

「太刀魚の〝たち〟って、立って泳ぐのと太刀みたいにピカピカしているのがかかってるのかな」

水槽の中で泳いでいる太刀魚を見てはしゃいでいる灯守先生をちらりと見る。
なぜ、ここに来たのかいまだに説明はない。
普通に並んで魚を眺めているだけだ。

……これってもはや、デートなのでは?

いやでも、朝倉先輩はもちろん灯守先生だって私をデートに誘う理由なんてない。
しかしわけもなく男女ふたりで水族館なんてそれ以外を考えにくいわけで。

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