歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
「当たり前だろ。
人に見られたらなにを言われるかわからん」

嫌そうに先輩が顔を顰め、そのとおりなのでそれ以上はなにも言わずにおいた。

水族館を出て夕方早い時間に解散する。

「今日はありがとうございました」

「いや、俺も楽しかったし。
じゃあ、気をつけて帰れよ」

「はい」

改札をくぐった先で振り返ると、先生はまだ私を見送っていた。
たぶん、見えなくなるまでいるつもりだろう。

「ほんとにいい人だよね」

来た電車に乗り、ドアに寄りかかって流れる窓の外を眺めた。
いつも私のことを考えて心配してくれる。
本当にいい会社の先輩だし、絵のお師匠様だ。

……しかもペンギン好きなんだ。

水族館の売店で真剣に悩んでいた灯守先生を思い出し、くすりと笑いが漏れた。
だったら絵を教えてくれるお礼にあれを用意し、来週、先生のお宅を訪問するときに持っていこうと思った。
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