歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
開けられたその中にはたくさんのペンギンが入っていた。

「シークレットの子連れのコウテイペンギンがなかなか出なくて、苦労しました」

うんうんと先輩が頷く。
眼鏡にスーツの真顔の会社員がガチャガチャの前に座り、真剣に回している姿を想像するとおかしくなってきた。

「え、朝倉先輩、こんなに回したんですか」

「はい、回しました」

私が笑いだし、先輩は困惑しているように感じる。

「朝倉先輩でもこんなことするんだ」

いや、解剖学の図説の模写をスケッチブック五十冊もしたといっていたし、一度熱中すると目的を達成するまでやり続けるのかもしれない。

「そんなに笑わなくても……」

「すみません。
でも朝倉先輩もやっぱり人間なんだなって思って」

先輩は普段、表情筋がお休みしているだけで中身はものすごく人間らしい。
絵を教えてもらうようになって、知った。

「どうせ僕は歩く冷凍庫ですよ」

「もしかして拗ねてます?」

「拗ねたりしません」

と言いつつ、先輩がそっぽを向く。
そういうところはやはり、歩く冷凍庫らしくない。

「まあ、この話はこのへんにしておいて、触ってみますか」

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