歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
「……はい」

もう毎度の注意をされ、すごすごと携帯を引っ込めた。
何度注意されてもやってしまう自分が嫌になる。

「……もしかして呆れてますか」

そろりと上目遣いで先輩をうかがう。
いつもどおり真顔の先輩からは感情が読み取れない。

「いえ。
そうやって感情のままに突っ走れるのは白石さんのいいところです。
僕などまだ、液タブはどっちを買うべきか悩んで結論は出ていません」

慰めるように軽く、先輩が私の肩を叩く。

「それにまあ、白石さんが無茶をしそうになったら僕が止めるので問題はありません」

「朝倉先輩が止めてくれるんですか?」

まさかそんなことを言われるなんて思わなくて、つい尋ねていた。

「あっ、まあ、僕の目が届く範囲ならば、ですが。
さすがに知らないところでは止めようがないですからね」

先輩の視線が、すーっと斜め前の床へと落ちる。

「そうですね、先輩が見ていないところで暴走しないように気をつけます」

「いや、見ているところでも気をつけてください」

「それもそうですね」

真面目に頷く先輩がおかしくて、笑っていた。
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