歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
「白石さんが手伝ってくれるなら心強いです」

眼鏡の向こうで僅かに先輩の目尻が下がる。

……あ。
ヤバい。

そう思ったのは一瞬で、すとんと先輩が私の胸の中に落ちたのを感じた。

「ま、任せてください」

熱くなった顔に気づかれないようにパソコンのほうを向き、無意味に液タブの上でぐるぐると円を描く。

……素の先輩で、あんな顔を見せてくるの、反則。

画面を塗りつぶさんばかりに私の手で円が量産されていく。

……あんなの見せられたら、……好きになるなっていうほうが無理じゃん。

「白石さん?
どうかしたんですか?」

私が不審な行動を取っているのに気づき、先輩が声をかけてきた。

「えっ、あっ、いや、このフィルム、本当に描き心地がいいなって」

焦りつつ、適当に言って誤魔化す。
まだ私の気持ちに気づかれたくない。

「気に入ったのならいいですが。
喉、乾きませんか?
そろそろ白石さんが持ってきてくれたケーキでひと息入れましょうか」

「そぅ、ですね」

みっともなく私の声が裏返る。
しかし先輩は普通な顔でキッチンへ行ってしまった。

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