歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
普段と変わらない淡々とした声だが、僅かにぎくしゃくしているような違和感を抱いた。

「でもこれ、うちの社食の日替わりですし。
あ、私、この日は社食で日替わり食べたんで知ってます。
あとこれ」

画像を拡大し、犬のマスコットを指さす。

「朝倉先輩が机に置いている犬ですよね?
さっきも一緒に写真撮ってましたし」

彼は黙ったままで返事はない。

……もしかして、怒ってる?

ここまで来てはたと、秘密をバラしたらと反対に脅される可能性に気づいた。
迂闊すぎて笑えない。
けれどもう、引くこともできないので覚悟を決めて尋ねる。

「朝倉先輩が灯守先生なんですか?」

長い沈黙が続き、騒がしい社食の中でまるでここだけ別世界みたいに感じた。
隣のテーブルの人が、ひとり、ふたりと去っていき、誰もいなくなって彼はようやく口を開いた。

「その話は仕事が終わってから改めてしましょう」

「あっ、はい」

まだ食べかけなのにトレイを持って朝倉先輩が立ち上がる。
そのまま止める間もなく行ってしまった……が。

「あ」

少し先でテーブルの脚に躓いてこけそうになっていた。

「はぁーっ……」

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