歩く冷蔵庫先輩が推し絵師でした~秘密のレッスンはじめます~
『なんだ、そんなことですか』

「そんなことってこっちは深刻なんですよ!
このままじゃ新刊が出ないんです!
どうしよう!?」

私はこんなに悩んでいるというのに先輩は全然わかっていなくて、失望した。
いや、勝手に期待していたのは私だけれど。
でも、同じ創作者ならネタの出ない苦しさはわかってくれると思ったのに。

『すみません、〝そんなこと〟なんて言って』

すぐに先輩は謝ってきたが、『お前のその顔、本当に謝ってるのかわかんねぇんだよ!』と、ときどき詰められている顔なのでどう判断していいのか困る。

『白石さんがかなり思い詰めているので、とうとうとんでもなく高額なものを買って、ローンの返済に困っているのかと……』

「はぁっ?」

喧嘩腰の声が出たが、すぐにはっと思い直した。
散々、勢いで買わないように私を注意していれば、そう思っても仕方ない。

『いえ、本当にすみません。
さすがの白石さんもそこまで考えなしじゃないですよね』

画面の向こうで僅かに先輩の口端が持ち上がった……気がした。

「ううっ」

普段の行動を考えるとやりかねないだけに、自分の胸を押さえていた。
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