触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 遊園地の最寄駅に着いたものの、まずは腹ごしらえということで、お洒落なハワイアンテイストのハンバーガーショップに入った。

 窓際にある木のカウンター席を選び、椅子を引く。

 何気ない動きまで、ぎこちなくなっている気がする。
 航と食事をするのは初めてなので、緊張しているのだ。

「やっぱり東京は、人も車もすごいな」

 窓ガラスの向こうを見ながら、航が言う。

「あー、うん。騒がしいよね」

 なんとか冷静になろうと、お冷を飲んだ。

 やがて、可愛らしいバスケットに入れられたハンバーガーとポテトのセットが運ばれてきた。

 ハンバーガーというものは――口を大きく開けて食べ進める必要がある。
 それを航に見られないよう、横目で警戒しながら食べていたのに、不意に視線を感じた。
 観察されていたことに気づいてジロリと睨むと、小さく笑われた。

 いつ、どのタイミングで、あの時の『返事』を聞かされるのだろう。
 そんな緊張感を常に抱えつつも。

『見慣れた街に、今、航がいる』

 その事実がたまらなく感慨深くて、嬉しくて仕方なかった。
< 104 / 242 >

この作品をシェア

pagetop