触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 三十分ほどが経ち、ようやく順番が来た。
 額や背中に、汗が滲んでいる。

 ワクワクしながら乗り込んだコースターが、頂上に辿り着いた。
 そして、急降下する。

「……キャーッ!」

 私のワンピースの、安全バーに押さえられていない部分が、風を含んで揺れる。

 少しでも大人っぽく見られたくて、紫の小花柄のものを選んだというのに。
 高い声を上げてバンザイし、子どものようにはしゃいでしまった。

 隣の航は相変わらず「おー」と落ち着いた反応だったけれど、そのトーンは僅かに弾んでいるように思えた。

 ラストの急降下とともに、盛大な水飛沫が上がる。
 思った以上に顔の全面に水を浴びてしまった。

「うわっ! 目に入ったー!」

 視界が良くないままケラケラと笑う私に対し、航は「冷たくてちょうどいいわ」などと涼しい声で言っている。

 到着口へ向けて、機体がカラカラと進む間。
 私は笑い続けながら、ショルダーバッグを手探りし、引っ張り出したタオルで目元を拭った。

 横を見ると、航も私につられて笑っていたけれど。
 視線がぶつかると、ふとその笑いを止め――静かに口を開いた。


「彼氏、できた?」


「…………はっ!?」

 唐突な質問に、思い切り不意を突かれる。
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