触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

「……できてない」

「好きな人は?」

「……!?」

 他愛のない質問かのように、さらりと尋ねてくる。

 たまらず前を向いたけれど――。


「それは……わかるでしょ?」


 動揺のあまり、思わず本音をこぼしてしまった。

 コースターはガタン、と重い音を立て、発着場に停まった。
 スタッフから、陽気な「お疲れ様でしたー!」という声がかけられる。

 航は何事もなかったかのように、安全バーを持ち上げ、先に降りた。

 私は一体――何を言わされたのだろうか。

 顔が熱くなるのを感じながら、バッグを掴んで立ち上がろうとした、そのとき。
 目の前に、手のひらが差し出されていることに気がついた。

「…………」
「…………」

 迷いながらも、それに掴まる。
 ただ手を貸してくれただけかと思いきや――航はそのまま歩き出した。

 初めは、遠慮がちに包んでいるだけのような感じだった。
 けれど、人波の中で何かの拍子に離れてしまいたくなくて、私は少しだけ指に力を込めた。

 そうしたら航は、安心する力強さで、ぎゅっと握ってくれたのだった。
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