触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
心揺さぶられる誕生日
ところが――。
手を繋いだまま乗り込んだ観覧車でも、航は肝心なことを何ひとつ言ってこない。
向かいではなく隣に座ってきたくせに、「傾いてない?」と顔を引きつらせる私を見て、「大丈夫でしょ」と呑気に笑うだけ。
その後に入ったお化け屋敷でも、二人乗りのカートやティーカップでも。
ついに、航は私の想いへの『返事』を口にしなかった。
一緒にいられることを純粋にはしゃぐ気持ちよりも、「このまま終わるのでは」という不安が、どんどん膨れ上がっていった。
◇
そして無情にも、あの街へ帰っていく彼を見送るときを迎えてしまう。
仕事や旅行から帰ってきた人々と、これからどこかへ出かけていく人々が、慌ただしく行き交う改札前。
喧騒から逃れるように、その少し手前にある太い柱の陰へ入り込み、静かに向き合った。
「それじゃあ……」
落とされる、別れの言葉。
「…………」
次、いつ会えるんだろう。
そもそも、また会えるのか、もう会えないのかもわからない。