触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 今日は、私に諦めをつかせるための、最後の思い出づくりだったのだろうか。
 それとも、私って本当に――『東京の愛人』?

 込み上げてくる、別れの寂しさ。
 私には告白まがいのことを言わせておきながら、何の答えもくれなかった彼への悲しみ。
 恨みがましい目を向けることで、泣き出しそうな気持ちをなんとか奥へと押し込める。

 航もおそらくそんな私の心情を察していて、困ったように眉を下げている。
 そのまま、ゆっくりと話し出した。

「今日、ありがとう。楽しかった」

「……東京観光が?」

 随分と棘のある嫌味ったらしいトーンで返してしまった。

「夏帆と……会えて」

「うるさいっ。タラシ」

 強がるようにそう吐き捨て、顔を背ける。
 航はふっと笑ったあと、黙り込んだ。

 そして、少し身を屈めたかと思いきや――。
 自分のほうに向けられていた私の頬へ、キスをしてきた。

 一年ぶり、二度目だ。
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