触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 信じられない思いで、彼を見る。

「なんで……?」

「……ごめん」

「何が『ごめん』なの?」

「…………」

 ただ気まずそうに、目を逸らされる。
 その態度を見て、涙が頬に伝い落ちた。

「航のことが……全然わからない」

「…………」

 すべての感情が溢れ出した私を見て、航は深い溜息を吐いた。
 そして――私の背中に手を回すと、ゆっくりと腕の中へ引き寄せた。

 あたたかい胸元からは、薄っすらと海の香りがする。

「……やめて」

「……やだ」

 小さく抗議するも、掠れた声で拒まれる。
 私も私で、この場所から逃れようとする力が出なかった。

「……遠距離なんて、絶対しんどいじゃん」

 降ってきたのは、うんざりしたような、駄々をこねるような弱音。

 そして――。


「俺、夏帆のこと……だいぶ好きだし」


 ずっと聞きたかった、彼からの『好き』だった。
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