触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 天まで舞い上がりたいくらい嬉しいのに、彼の抱える葛藤が伝わってきて、ひどく切なくなる。

「……どうして? 私は、離れていて寂しいのはどっちみち同じだから、それなら恋人でいられるほうが幸せだけど」

「……へえ」

「そりゃあ、毎日会えたら嬉しいに決まってるけど……」

 そこまで言って、唇をきゅっと噛み締めると、続きを紡いだ。

「でも……私は、会えなくても航がいいから……」

 言葉にしたら恥ずかしくなって、顔を埋めたまま彼のTシャツの裾を握りしめた。

「……いつでも触れていい関係になったら、距離のせいで触れられないのがしんどくなる」

 私は、精一杯の想いを伝えたのに。
 航はまだ『両思いでも付き合いたくない』理由を、グダグダと述べてくる。

「じゃあ……もういいよ。付き合わなくて」

 拗ねたように言い返し、今度こそ離れようとすると、背中に回された腕に力が込められ、阻止された。

「やっぱり、付き合う」

「……え?」

「他に彼氏つくられたら、やだ」

 そう言って再び溜息を吐いた航が、可愛かった。

「航って結構……子どもっぽいね」

 人目に付かない柱の陰に隠れながら、互いに素直になってあれこれと言い合った。

 こうして、航とようやく恋人同士になれたのだった。
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