触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
◇
航は当初、地元の駅からの最終バスに間に合う時間に帰る予定だった。
けれど「歩いて帰ればいいや」と、真夏の夜道を三十分歩くと決めて、もう少し東京に残ってくれることになった。
地下のコンコースから階段を上がって外へ出ると、ライトアップされた複合商業施設の前に設置された、広くて静かなベンチを見つけた。
そこに並んで座り、繋いだ手から伝わる熱を感じながら、今日までの空白を埋めるようにたくさん話をした。
やがて、航がお父さんから借りてきたという少し大きめの腕時計に視線を落とし、「そろそろか」と呟いた。
「うん……」
名残惜しさを隠し、小さく頷く。
これから本格的な受験シーズンに突入するため、次に会えるのは早くても半年以上先になってしまう。
恋人同士になって早速訪れる、遠距離の試練だ。
けれど航は、ベンチから立ち上がろうとせず、ただじっと自分の足元を見つめていた。
「航?」
不思議に思い、下から顔を覗き込んで声をかける。
すると、彼は静かに言った。
「充電、したい」
航は当初、地元の駅からの最終バスに間に合う時間に帰る予定だった。
けれど「歩いて帰ればいいや」と、真夏の夜道を三十分歩くと決めて、もう少し東京に残ってくれることになった。
地下のコンコースから階段を上がって外へ出ると、ライトアップされた複合商業施設の前に設置された、広くて静かなベンチを見つけた。
そこに並んで座り、繋いだ手から伝わる熱を感じながら、今日までの空白を埋めるようにたくさん話をした。
やがて、航がお父さんから借りてきたという少し大きめの腕時計に視線を落とし、「そろそろか」と呟いた。
「うん……」
名残惜しさを隠し、小さく頷く。
これから本格的な受験シーズンに突入するため、次に会えるのは早くても半年以上先になってしまう。
恋人同士になって早速訪れる、遠距離の試練だ。
けれど航は、ベンチから立ち上がろうとせず、ただじっと自分の足元を見つめていた。
「航?」
不思議に思い、下から顔を覗き込んで声をかける。
すると、彼は静かに言った。
「充電、したい」