触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 まだ朝の七時を過ぎたばかり。
 開いているお店はなく、まずは散歩がてら駅から一番近いビーチへ向かうことにした。

 どちらからともなく、自然に手を繋ぐ。

 航が大きなあくびをしたら、私もつられてしまい、笑い合った。
 少しでも長く一緒に過ごしたくて、こんな早朝から会っている。

「朝は、また雰囲気が違うね」

「だな」

 この街で会うのは、二度目だ。
 前回は三か月前、じっとりと暑い夜に開催された花火大会の日に訪れた。
 それ以外はすべて、航が東京まで来てくれている。

 海へ向かって急な斜面が続く。
 思わずつんのめりそうになりながら下り坂を進むと、やがて眼下に青い海が広がった。

 あたたかい光に照らされた横顔を見上げる。
 嬉しくてつい声が上擦ってしまう私とは対照的に、彼は静かだ。
 しかし、ちょっとした表情の一つひとつに、たしかな喜びが垣間見えた。
 それが、たまらなく愛おしい。
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