触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

「……航っ? 聞いてるっ?」

 波音に負けないよう、声を張る。

「聞いてる、聞いてる」

 その相槌で、聞いていないことが確定した。

「じゃあ、私、なんて言ってた?」

 ジト目で問い詰めると、航は少し吹き出したあと、「んー」と視線を彷徨わせた。

「テストの話だっけ」

「『だっけ』って。やっぱり聞いてないじゃん、もーっ」

 頬を膨らませて抗議する私に「ごめんって」と笑う。
 そして。


「あそこ、座んない?」


 航が指差したのは、道路とビーチを繋ぐ階段の下、ちょうど死角になっている物陰。

「……いいけど……」

 私は、やや警戒しつつも了承するのだった。
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