触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 砂浜に腰を下ろし、二人で水平線を眺める。
 肩が触れそうなほど、距離が近い。

 今日の航は、文通でよく使っていた封筒とよく似た色の、ネイビーのカーゴシャツを着ている。
 この深い色は、彼にすごくよく似合う。

 高鳴る胸を悟られないよう、先ほどの話を再開した。

「それで……学校のテストの話だけど。前回はクラスで下から二番目だったじゃん?」

「うん」

「今回はね、下から五番目だったの!」

 受験勉強を必死に頑張って、ギリギリで合格した進学校。
 周りは頭のいい子ばかりで、授業についていくだけで精一杯だ。

「おー」

 返ってくるのは、あっさりとした反応。

「……もっと褒めてよお」

 不満を込めて、彼の肩にこつんと自分の頭を乗せた。

 家でも学校でも、昔からわりと『真面目で手のかからない子』という扱いをされてきたし、自分でもそう振る舞ってきた私だけれど。
 航にだけは、いつの間にかこんなふうに甘えるようになっている。

 航は私の頭に手のひらを乗せると、耳元へ顔を近づけた。


「すごいね」


「…………」

 低く囁かれたその一言だけで、私の心拍数はまた一気に跳ね上がってしまう。
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