触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 これは、高校生の男女がしていいものなのか、わからないけれど――。
 爽やかな朝のビーチには似つかわしくないことだけは確かだ。

 花火大会の日とは、違うものだった。

 あの夜は、地元の人や観光客で街全体が賑わっていたけれど、航は人気(ひとけ)のない暗がりをめざとく見つけ、キスをしてきた。
 真夏の熱気に後押しされ、一度だけではなく何度か、したのだ。

 物静かだけれど、会うたびに、一歩ずつ確実に私との距離を詰める航。
 付き合った日、受験が終わった日、桜の時期、花火大会。
 そして、今日。


 初めての感覚に、ただいっぱいいっぱいになり、シャツ越しの航の腕に掴まっていると――。
 不意に小さな気配を感じ、私たちは同時に視線を向けた。

 そこには――無邪気な瞳をこちらに向ける、毛並みのよい大型犬がいた。


「…………」
「…………」


 そのあと、「すみませーん」と追いかけてきた飼い主の女性が来るまでに、二人の間に適度な距離をつくったものの。
 火照った頬は、まったく誤魔化せていないように感じた。
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