触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 私はすぐに、首を横に振った。

「もちろん……寂しいよ。でも、今日がすっごく楽しかったから。まだその幸せパワーが残ってるだけ」

 これは決して強がりなんかじゃなく、わりと本音なのだ。
 二年間も片思いをしていたせいか、航が『私の恋人』だという事実にいまだに慣れず、ずっと夢見心地でいる。
 彼に想われているだけで、どんなことでも乗り越えられるような気持ちになってしまう。

 今日は、早朝のビーチを散歩し、キスをした。
 水族館の青い光の中を歩き、博物館を巡り、カフェでは時間を忘れるくらい他愛のないお喋りをし続けた。
 そんな、幸せな一日。
 改めて振り返ると、思わずへらっと笑ってしまう。

「…………」

 そんな私を見る、航は。
 黙ってはいるものの、『いいよな、ポジティブで』と言いたげな顔で、少しだけ恨めしそうにしていた。

 こうしてなんとか二、三か月に一度のペースで会えてはいるものの、次に会える予定はまだ明確には決まっていない。
 高校生の二人にとってこの距離は、物理的にも心理的にも随分と遠く、残酷なのは事実だった。
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