触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
「私の受験が理由で、夏帆ちゃんだって今年も航くんのホテル、行けなかったんだし」
「…………」
痛いところを突かれ、黙ったままでいる。
彼女の言う通り、去年は私の高校受験で行けなかったため「今年こそは」と待ちわびていたものの。
今度は凪沙の受験のサポートと節約のため、結局行くことができなかった。
もちろんひどく残念だったけれど、失恋して落ち込む妹を前にして、私だけが「行きたい」と我儘を言うことは、やっぱりできなかったのだ。
「それでなくても、遠距離だし。このままじゃ夏帆ちゃんも、私みたいに失恋しちゃうかもねー」
ただの八つ当たりか当てつけかと思ったけれど。
隣を見ると、凪沙は『ここで応戦しないの?』とでも言いたげな、発破をかけるような強い視線で、私をじろりと見ていた。
妹の援護射撃に背中を押され、私は少し身を乗り出した。
「……お母さん。お願いがあるんだけど」