触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 帰宅後、そそくさと夕飯と入浴を済ませると、自室の机に向かった。

 いつもの引き出しを開け、便箋を取り出す。
 秋の季節にぴったりの、オレンジとイエローの小花柄のものを選んだ。

 スマートフォンのメッセージですぐに送ることだってできる。
 けれど、特別なことは、やっぱりいまだに手紙で伝えたくなるのだ。

 航の誕生日は、冬。クリスマスの少し前にある。
 机の上のカレンダーをめくって十二月の日付を確認すると、今年は運よく、ちょうど土曜日に重なっていた。

 昔よりは少しマシになったと思いたいけれど、相変わらずの丸みを帯びた文字で、丁寧にペンを走らせる。


 ――――――――

 航へ

 今日は、会えて本当に楽しかったよ。
 ありがとう。

 今年の航の誕生日、ちょうど土曜日だよね。
 今度は私が、航のところに遊びにいってもいい?

 クリスマスプレゼントのお小遣い、前借りできることになったから!

 ――――――――
< 138 / 242 >

この作品をシェア

pagetop