触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 航の家には、バスにはあえて乗らず、海沿いをゆっくりと歩いて向かった。

 海水浴シーズンの賑わいが嘘のように、人のいない砂浜。
 夏よりも不思議と澄んでいて、より鮮やかな青の装いをした海に、目を奪われた。

 到着すると、航のご家族が用意してくれたホールケーキを囲み、誕生日祝いを兼ねたお茶会をすることになった。
 冬の閑散期で宿泊対応がなかったため、手厚く出迎えてくれたのだ。
 弟の洋くんは、ケーキを一切れ食べ終えるとそそくさと自室に戻っていったけれど、ご両親とはたくさん話をすることができた。

 航は、二人きりになれず静かに不満を滲ませていたけれど。
 彼の日常に混ぜてもらえたようで、私は胸がいっぱいだった。
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