触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
そして、食後。
彼の部屋に、初めてお邪魔した。
「……航の匂いだ」
「……え?」
浸る私に、慌てて窓を開けて換気しようとする航。
笑いながら「いい匂いってこと!」と制した。
ベッドに並んで腰掛け、航の小さい頃の写真や、中学の卒業アルバムを見せてもらっていたら、あっという間に帰りの時間を迎えてしまった。
部屋を出る間際、そっと腕を引かれ、触れるだけのキスをした。
すぐ隣の部屋に洋くんがいるため、それ以上のことはできず――航は物足りなさそうな溜息を吐いていたけれど。
その拗ねたような表情が可愛くて、単純な私はすっかり満たされたのだった。
そうして、季節はふたつ巡り。
航と出会ってから、五度目の夏がやってきた。