触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

 ほどなくして、宿の手伝いを終えた航が走ってきた。

「お待たせ」

「……うん」

 日焼けした額にはうっすらと汗が滲んでおり、それを拭う手の甲は、またさらに骨ばって男らしくなったように見えた。

 航はポケットから鍵を取り出し、扉を開けてくれる。

 家の中は、ひっそりと静まり返っていた。
 靴を脱ぎ、そっと上がり框を跨ぐ。

「洋もいないかも」

「そう、なんだ」

 ご両親は宿泊客の対応中で、弟の洋くんの気配もない。

 ということは、二人きり。

 一気に鼓動が早鐘を打ち始める。
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