触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「ありがとう……」
「…………」
「航……大好きだよ」
陽射しの匂いがする腕が、私をきつく抱きしめ返す。
「寂しかったよ」
ぽつりと、本音がこぼれ落ちた。
「……うん」
掠れた返事を聞き、ゆっくりと顔を上げる。
唇が重なると、航の想いも伝わってきた。
彼の香りに包まれ、空っぽだった心が満たされていく。
二人の熱が高まっていくのを感じながらも、隙間から呟いた。
「航……」
「…………」
「海、行かなきゃ……」
彼も一緒に行く約束をしているのだ。
「……わかってる」
そう応えながらも、私を縛る腕の力は緩まない。
やがて一階で微かな物音がするまで――結局は誰もおらず、私たちの過剰な警戒だったのだけれど――ただ離れがたくて、ひたすらに確かめ合った。