触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

嵐から逃れ、交わす約束


 翌朝、目を覚ますと、予報通りの激しい雨が降っていた。

 初めて見る、暴風雨に荒らされるこの街の海。
 快晴の下での輝きはすっかり影を潜め、鉛色に染まった波が、飛沫を上げながら激しく打ち付けている。

 海遊びはできないため、昼から家族で水族館へ出向くことにした。
 出発まで、まだ二時間ほどの余白がある。


 それなら――航に、会いたい。


 彼も、悪天候のため部活は休みになり、午前中は家にいると、先ほどメッセージが届いていた。

 身支度を整えるため洗面所にいた母の背中へ、声をかけた。

「お母さん。出かけるまで、航のところに行ってきてもいい?」

 鏡越しに私と視線を合わせた母は、手元のメイク道具を置いて「いいけど」と答えるも、静かに振り返った。


「航くんの部屋に上がるのは、やめておきなさいね」


 昨日のことが、何か勘づかれているのだろうか。
 ひやりと汗が滲む。
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