触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

「……どうして?」

 平然を装って問い返す。

「高校生の男女が部屋で二人きりになるのは、あまり感心しないから。昨日のあなたたちを見ていて……なんとなくね」

「…………」

 言葉に詰まった。

 母が言っているのはおそらく、昨日海で遊んでいたときのことだ。

 家族の輪から外れ、私は航とばかり一緒にいた。
 潜り方を教わったり、波に揺られて浮かんだりしていただけ、だったけれど。

 その直前、彼の部屋での出来事の余韻が、二人の間に漂っていたのかもしれない。
 水着から出る互いの素肌に自然と触れていたり、顔を近づけて笑い合ったりしていた。

 母の鋭い視線に気がついたのは、随分と後になってからだった。
< 155 / 242 >

この作品をシェア

pagetop