触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「……どうして?」
平然を装って問い返す。
「高校生の男女が部屋で二人きりになるのは、あまり感心しないから。昨日のあなたたちを見ていて……なんとなくね」
「…………」
言葉に詰まった。
母が言っているのはおそらく、昨日海で遊んでいたときのことだ。
家族の輪から外れ、私は航とばかり一緒にいた。
潜り方を教わったり、波に揺られて浮かんだりしていただけ、だったけれど。
その直前、彼の部屋での出来事の余韻が、二人の間に漂っていたのかもしれない。
水着から出る互いの素肌に自然と触れていたり、顔を近づけて笑い合ったりしていた。
母の鋭い視線に気がついたのは、随分と後になってからだった。