触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
 ◇

 閉め切られた窓の外に見える、横殴りの雨。

「昨日、海で結構一緒に遊んだからさ。今日は、家族と過ごすかなって思ってた」

 航は、持ってきたペットボトルを勉強机に置きながら言った。

「家族とは昼から出かけるけど、その前に……航と会いたくて」

 語尾が小さくなってしまった。
 航も机のほうを向いたままで、こちらには背中を見せている。


「何、する?」


「……え?」

 雨音が、部屋の沈黙を際立たせる。

 勢いのままに来てしまったけれど、じわじわと甘い緊張が指先から這い上がってくるのがわかった。

「えっと……お喋り……とか?」

 航は「……そうだな」と同意し、ゆっくりとベッドに腰を下ろした。
 スプリングが微かに軋む音が、鳴る。


「じゃあ、隣きて」


 静かな誘い。
 躊躇いがちに歩み寄ると、大きい手のひらが差し出された。

 その手を取ると、すっと引き寄せられ、すぐ横に座らされた。

 繋いだ手を、指先を絡め合う形に変える。
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