触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「…………」
「…………」
何から話せば、いいだろう。
話したいことは山程あるはずなのに、所在なく斜め下に視線を泳がせていた。
すると、航はそっと身を屈め――軽く音の鳴るキスをしてきた。
至近距離のまま、切り出される。
「前から気になってたんだけどさ……」
「……うん?」
「俺……夏帆に触りすぎ?」
唐突な質問に、「へっ?」と間抜けな声が漏れる。
少しだけ考えてから、じろりと見た。
「うん」
その肯定に、航は吹き出して「ごめん」と短く謝った。
「自覚あったんだ?」
「まあ……だいぶ前のめりで触ってるから、引かれてるかもとは思ってた」
「…………」
いつも平然と距離を詰めてくるものだから、そんなふうに気にしていたことは意外だった。
「……引かないよ」
小さく否定した。
そして、ほんの少し勇気を振り絞り、正直な気持ちを言葉にする。
「だって、私も……航に触りたいから」
まっすぐに見つめると、雨だれのように静かな瞳と視線が絡み合った。