触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
『……夏帆?』
名前を呼ばれ、頭を掠めるものを振り払う。
「あっ、うん!?」
急いで明るい声をつくった。
「早く、会いたいね……」
つい、本音がこぼれ落ちた。
夏休みに彼の宿を訪れてから、あっという間に季節がひとつ過ぎてしまった。
次に会うのは――あの嵐の日に約束を交わした、航の誕生日前後。
旅費の節約のためにも、それまでは我慢すると決めているのだ。
『……な』
航のトーンも、どこか低い気がする。
無理な我慢を、させていないだろうか。