触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
 ◇

 数日後。
 まだ十一月に足を踏み入れたばかりだというのに、教室のガラス越しに冷気が伝わってくる日だった。
 指定のネイビーのセーターの袖口に、かじかんだ指先を隠すようにして丸めていた。

「さようなら〜」

 高校生特有の覇気のない声が重なり、帰りのホームルームが終わる。
 今日の予備校の予定を確認しようとスマートフォンを取り出すと、一通の通知が目に飛び込んできた。

「……!」

 待ち焦がれていた、冬期講習のスケジュール表だ。

 はやる心で添付ファイルを開き、カレンダーを目で追う。

 家に両親がいない、土曜日。
 そこには――見事に、授業の予定がひとつも入っていなかった。

 早く航に知らせたくて、弾む指先で短いメッセージを打ち込む。


 ――――――――

 あの日、講習の日程被ってない!

 ――――――――


 送信ボタンをタップした直後だった。

「おいっ。委員長」

 背後から降ってきた声とともに、頭頂部に軽いチョップが落とされる。
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