触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

「痛っ!」

 身をすくめて振り向くと――涼しい顔で見下ろしてくる小宮山がいた。

「……あのさ。そろそろその呼び方、やめてくれないかな」

「まあ、いーじゃん。今さら」

 小学校から一緒の彼。
 高校も同じ志望校に合格し、今年はとうとうクラスまで同じだ。

 去年は別のクラスで、廊下ですれ違っても目を逸らされていた。
 だからなんとなく、こちらからも話しかけないようにしていたのに。
 二年生になると、なぜか昔のようにずけずけと距離を詰めてくるようになった。

「保健委員のプリント。俺こっち書くから、お前こっち書いて」

 じゃんけんで負けて、共に押し付けられた委員の書類が、無造作に放り投げられる。

「……わかった」

 密かに溜息をつき、おとなしくペンを走らせ始めた。
< 177 / 242 >

この作品をシェア

pagetop