触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

『夏帆のこと「委員長」って呼んでたけど。昔、夏帆が言ってた、あだ名で呼んでくるって人?』

「あ……そう、だけど」

 小宮山について手紙で愚痴をこぼしたのは、たしか中学生の頃だ。
 覚えていたんだと、少し驚く。

『じゃあ……付き合い長いんだね』

 微かに刺を含む響き。

「……うーん。でも、委員の仕事でしか関わりないよ」

『へえ。委員も一緒なんだ』

「本当、それだけだし……!」

『電話代わるときも、親しげに揉めてたじゃん』

 責め立てるような言葉の連なりに、胸の奥に痛みが走る。
 それは――奥深くへ押し込めていた感情を、いとも容易く呼び覚ましてしまった。


「……航が、それ言う?」


 電話の向こうで、息を呑む気配がした。
< 182 / 242 >

この作品をシェア

pagetop