触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
『夏帆のこと「委員長」って呼んでたけど。昔、夏帆が言ってた、あだ名で呼んでくるって人?』
「あ……そう、だけど」
小宮山について手紙で愚痴をこぼしたのは、たしか中学生の頃だ。
覚えていたんだと、少し驚く。
『じゃあ……付き合い長いんだね』
微かに刺を含む響き。
「……うーん。でも、委員の仕事でしか関わりないよ」
『へえ。委員も一緒なんだ』
「本当、それだけだし……!」
『電話代わるときも、親しげに揉めてたじゃん』
責め立てるような言葉の連なりに、胸の奥に痛みが走る。
それは――奥深くへ押し込めていた感情を、いとも容易く呼び覚ましてしまった。
「……航が、それ言う?」
電話の向こうで、息を呑む気配がした。