触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
私の放った言葉は、数週間前の出来事を指していた。
航たちの修学旅行。
彼が送ってくれた何枚かの写真の中に、『ある一枚』が紛れ込んでいた。
数人のグループで撮ったもの。
航の隣には、嬉しそうに微笑む――葉月ちゃん。
相変わらず、肩が触れ合いそうなほどの距離感だった。
少しして、航は間違えて送ってしまったと慌てて謝罪してきた。
写真自体についても、レンズを見ていたため彼女と並んでいたことに気づいていなかったのだと。
それを、信じたかったけれど。
恋人がいる今でも、あんなふうにそばにいることが日常なのだと思い知らされ、不安に苛まれた。
それでも、すぐに会えない距離で喧嘩などしたくなくて。
込み上がる感情を飲み込み、可愛く拗ねる程度でやり過ごしたのだ。
『……ごめん』
重たい沈黙のあと。
私と同じ記憶を辿ったのか、航は気まずそうな声で謝ってきた。
言わなくては。
『私のほうこそ、ごめん』と。
そして、二人だけのあたたかい時間に戻ればいい。
なのに。
喉の奥につっかえたまま、どうしても出てこない――。