触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「……もういいよっ。バイバイっ」
『え、夏帆?』
動揺する航の声を断ち切るように、勢いよく通話を終わらせてしまった。
そのままスマートフォンをベッドに放り投げ、倒れ込むように枕へ顔を埋める。
じわじわと目頭が熱くなり、溢れ出した悲しみが冷たい布に吸い込まれていく。
付き合ってから初めて、こんなふうに感情をぶつけてしまった。
せっかく、ずっと我慢できていたのに。
来月の『約束の日』のことを、相談したかったのに。
切った直後から、スマートフォンは航からの着信を知らせて何度も震えていた。
けれど、乱れた心と震える声では、とてもそれに応えることなどできなかった。