触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
別々の制服のまま、肩を寄せて
東京駅の広大なコンコース。
セーラー服のまま太い柱に背を預け、途方もない数の人波に目を走らせる。
ここは、初めて航から『好き』という言葉をもらった場所で。
彼が東京へ来るたび、待ち合わせをする場所だ。
やがて群衆の向こうに、本来は平日の昼間にいるはずのない姿を見つけた。
海辺の街からやってきた――航だ。
直接見るのは初めてとなる、ブレザー姿。
まだ詳しくは聞いていないけれど、学校に行ってからそのまま来てくれたのだろうか。
視線が絡み合い、互いに駆け出す。
彼が改札を抜けた瞬間。
人目も忘れて抱き合った。
「……っ、航……」
「……ごめん」
「私こそ……ごめんね……」
腕の力が少しだけ緩み、私は顔を上げた。
「夏帆は、悪くないから」
その瞳はひどく余裕をなくし、すがるような色が滲んでいた。