触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

「でも……ここまで来させちゃったし……」

 伏し目がちに呟くと、航は再び私を引き寄せた。
 胸元から感じる鼓動が、驚くほど速い。

「俺が……会いたかっただけ」

 その不器用な優しさに、目の奥が熱くなる。

 ――けれど。

 背中に、視線を感じた。

 ここは、東京駅の改札前だ。
 制服姿で抱き合う高校生の男女に、好奇の目が突き刺さっていた。

 航も我に返ったようで、慌てて距離を取る。

「えっと……とりあえず、外に出る?」

 ちらりとうかがいながら、提案した。

「……あー、うん」

 火照った頬のまま、頷き合う。

 まるで一つの街のように複雑で、たくさんの店がひしめく地下街。
 冬を目前に控えているというのに、汗をかきながら足早に進んだ。
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