触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「……え?」
「いや、いるのはわかってるんだけどさ。考えないようにしてたっていうか」
繋いでいないほうの手で、グラスの汗を拭っている。
「どういう感じで喋ってんのかとか、どんな距離感なのかとか。昨日……初めて知った」
本来は、口数が少ない航。
懸命に伝えようとしてくれているのがわかる。
「進学校で、頭いい奴らだろうし。俺よりも、夏帆と話が合うのかも……とか。そういう、しょうもないこと考えた」
「航……」
航はそのまま、黙ってテーブルの木目のあたりを見ていたけれど。
やがて「……でも」と続けた。
「夏帆は、見てるじゃん。葉月の、あの距離感」
その名前に、心臓が跳ねる。