触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「あの人こそ、夏帆のこと好きそう」
不意に、航が呟く。
「え?」
「電話の人。なんか……そんな感じした」
小宮山のことだ。
そんなこと、絶対にないと思うけれど。
無遠慮なタイプなので、電話口でどんな態度をとったのかと心配になる。
「えっと……あの人、なんて言ってた?」
恐る恐る、確認する。
「『委員長は今、トイレ行ってますけど?』って」
航は吐き捨てるように言った。
「うーん……? そっか……ごめん」
小宮山の意図はわからないけれど、航に嫌な思いをさせてしまったのは事実だ。
適切な言葉を考え巡らせていると、ジロリと見られた。
「なんか、夏帆……焦ってない?」
「……え!? 焦ってないよ!?」
そう指摘されると、なぜだか本当に目が泳いでしまう。