触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
 ◇

 車を走らせ、駅のロータリーへつけた。

 妻を乗せた電車が到着するまで、あと五分。
 エアコンで冷やされた車内で、ハンドルを握る指先が芯から冷えていくのを感じる。

 ふと、十六歳最後の冬の記憶が、蘇る。

 それは――俺の若さゆえの選択間違いにより、夏帆を泣かせてしまった、あの日のこと。

 夏帆との『約束の日』。
 日の出前の凍てつく寒さの中、東京へ向かう始発電車に乗るため、駅に来ていた。

 今、視線の先にある、駅の入り口。
 まさにあの場所で、俺は、告白されたのだ。

 この街で一緒に育った、葉月から。
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